【振り返り】にはコツがあります

辛い経験を体験学習サイクルに当てはめてみましょう。同じく、看護師資格を取得し、病院勤務を始めたばかりの看護師Bさんの例です。慢性的な看護師不足に加えて、感染症対策に追われる院内は殺伐とした空気が支配しています。ある日、患者さんの採血を指示されました。実際に患者さん相手の採血は初めてです。なかなか動脈を探し当てることができません。見かねた先輩看護師から、「もういい。」と降板指令を受けます。さらに、周囲に聞こえるように「採血くらいできるようになって卒業してきてくれないか。」となじられたのでした。

サイクル① 経験(起きたこと):採血の不手際を先輩になじられました。

サイクル② 内省(それに伴う感情):周囲には同僚もいて、本当に辛い経験でした。もう職場には戻りたくありません。

サイクル③持論化(どう②を捉えたか、何がわかったか):自分には看護師の仕事は向いていないかもしれません。

サイクル④実践(次の行動をどうするか):誰かに相談してみよう。

体験学習サイクルの技法を知らなければ、こうした辛い経験を分解して、サイクル④実践(自分を立て直すために何をすべきか)に至ることができません。多くの人がサイクル①経験、②内省、③持論化を行きつ戻りつすることになります。そのうちに視野狭窄に陥り、夢をあきらめてしまう迷路へ入り込んでしまうのです。

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脱「苦労のしっぱなし」