体験学習
同じ仕事や経験をしていても、そこから何かを学んで成長をし続ける人と、伸び悩む人がいます。
この差はどこから生じるのでしょうか。
自分の体験を振り返り、その体験から何に気づき、それを踏まえて何らかの行動に移す習慣を持っているか否かが、その差を作り出しているとする考えから体験学習は開発されました。
一人ひとりが経験したことを振り返ったり、あるいは抽象化したり、何が大事なことかを明確にする時間をとることを繰り返す過程で、自信が生まれます。
その自信はさらなる体験学習に繋がり、自分自身をアップグレードすることになります。
「我々は経験から学ぶのではなく、経験を振り返ることから学ぶのだ」と米国の教育学者ジョン・デューイは、振り返りの大切さを提唱しています。
私たちのプログラムは、この体験学習のコツ(テクニック・技法)を学び、それを身につけ、更に深化させてもらえるように設計されています。
プログラムは三つのステップで構成されています。①学びのステップ(振り返りのテクニックを学ぶステップ)、②習熟のステップ(頭で理解したことを体に染み込ませるステップ)、③深化のステップ(振り返り力を高めるステップ)です。この三段階を経ることで、職場での困難に体当たりする精神力を確実に身につけてもらいます。
テンプレートを使う
いくら辛酸を舐めるような経験をするにしても、その甲斐がなければ自分の身を削るだけの苦労となってしまいます。振り返りのコツを学ぶことで、「苦労のしっぱなし」から脱却することができます。自己流ではうまくいきません。効率的に先人の知恵を借りてください。すでに確立されている体験学習の基礎を学ぶことで、どんな苦労も意義ある経験として自分の身に沁み込ませる技能を学びましょう。
まず、振り返りの習慣をつけることから始めます。具体的には、一日の終わりに15分間、その日の「学び」について振り返る時間を持ってもらいます。わずか15分でいいのです。好きな紅茶やコーヒーでも飲みながら振り返ります。これによって、経験したことを抽象化してみます。具体化と抽象化を往復することで、何か気づきを得たり、新しい問いが生じたりすることでしょう。このプロセスは、最終段階の深化のステップにもつながる大切なものです。この段階で習慣化させてください。
さらに、「体験学習サイクル(Experiential Learning Model)」と呼ぶテンプレートを使うことで、普段は無意識に行なっている物事の認知と行動の関係性を一つひとつ明らかにします。自分の過去の行動を新しいまなざしから見ようとする訓練です。このことで、新しい発見が生まれます。具体例を使って体験学習サイクルの回し方を解説します。